伊那谷のサーチライト-1

伊那谷のサーチライト-1

2021/8/10頃より、伊那谷にサーチライトが照射されていることを複数の方からお知らせいただきました。
サーチライトは、木曽観測所に設置されている星空ライブカメラ(YouTube)にも映るそうです。

地元の「駒ヶ根星空の会」の会長・日岐さんに情報を提供いただいたので、記録に残します。

■ 2021/8/12 ~ 8/27 までの経緯

■ サーチライトが映るライブカメラ

■ 2021/8/12までの経緯

  • 2021/8/5 19:30頃:短時間の照射あり。おそらくテスト点灯されたものと思われる。
  • 2021/8/10 19時過ぎ:各所より照射確認の情報あり。照射が始まったと思われる。
  • 2021/8/10 :各所の情報より、箕輪町のホテルが照射元らしいと分かる。
  • 2021/8/11-12 :駒ヶ根星空の会の日岐さんが各所に呼びかけおよび調査を始める。
  • 2021/8/12 :照射元は、箕輪町のホテル(塩尻北のホテルの系列)と確認。

■ 駒ヶ根星空の会の日岐さんの調査で分かったこと

項目内容補足
地元への説明8月3日頃に該当地区への説明会を8月5日に開催したい旨、ホテルより申し出あり。
急なことなので開催不可となると、文書でサーチライトの照射を通知される。
町に規制する条例がないため、反対できない状況。
塩尻案件でも、事前に地元の自治会長へ説明し、さらに規制する条例がなかったため、「近隣住民には理解いただいている」として照射を始めている。
照射の時間帯 日没から朝まで塩尻案件と同じ。
照射期間10月までの3ヶ月塩尻案件は2020/12/4から2021/2/28の3ヶ 月
規制する条例該当の箕輪町には条例での規制はなし。
「箕輪町景観計画」の行為宣言次項に「照明を行う場合は、必要最低限の明るさとし、落ち着きや温かみを感じられるよう努めること。また、ネオンサイン、点滅照明及び光源で動きのあるものの使用はできるだけ避け、やむを得ず使用する場合は周辺景観との調和に十分配慮すること。」(田園地域)があるので、こちらで指導できないかを確認中。
隣接する伊那市福島の「福島地区景観育成住民協定」には、「点滅・サーチライト禁止」の項目あり。
塩尻案件は、近くに「まつもと空港」があったため、ホテル側は「空港法に抵触しない」ことと「飛行時間外の点灯で問題ないこと」を空港に確認までしているので、今回もホテル側は規制する法がないことは調査済みと思われる。
「箕輪町景観計画」 も条例になっておらず、必要とされる届け出も「100㎡を越える修繕」とあるので、おそらく届け出義務のない範囲で修繕していると思われる。
星空観察会対応ホテル側は「観察会などで消灯が必要な場合は連絡いただければ消します」と言っている。塩尻案件でも同様です。
塩尻のホテル近隣で観察会を行い、消灯を依頼しましたが、依頼した時間のみ、きっちり消灯された。
今回、木曽から光が確認できるので、広域で観測の支障になる可能性があるが、ホテル側でどう対応するか気になる。


■ 駒ヶ根星空の会の日岐さんの動き(8/12まで)

  • 箕輪町生活環境課にサーチライト目撃の報告と星の研究に支障があることを伝える
  • 近隣自治体の関係者に、サーチライトの報告と今後の対策への協力をお願いする
  • 近隣の星空に関わる観光事業を手掛ける事業者に協力を呼びかけ
  • 木曽観測所への報告
  • 塩尻星の会への情報提供

■写真など

ホテルからサーチライトが照射される様子・南側より(2021/8/12)
ホテルからサーチライトが照射される様子・北側より接近(2021/8/12)
ホテル東側の高台より-1(2021/8/12)
ホテル東側の高台より-2(2021/8/12)
ホテルから1.5kmほど北側の三日町より(2021/8/12)

補足:
塩尻星の会では、サーチライトの照射には反対ですが、広告宣伝の古い手法の1つとしては認識し、その行為および行為者に対し、消灯への理解を求めることはあっても、批判的・否定的な表現を避けておりました。塩尻の件でも、即時停止をお願いしつつ、行為者の批判ではなく条例制定への活動に終始するよう、行為者の対応や発言については公開しておりませんでした。
しかし、条例制定の動きがある中での今回の照射、および 行為者の「法に抵触しなければ問題ない」とのお考えが分かり、ホテル側の対応も、事実の範囲内で開示していく考えです。
Twitterなどのご批判には、問題にしすぎ、星が見たいなら他に行けばよい、などもありましたが、自然の保たれた長野県で育つ多くの子供たちに、自宅近くで天の川を見られる環境を保全するのは私たちの務めと考え、情報をお伝えします。
自治体の方は「住民からの要望」で動くことができます。クレームではなく前向きな要望を上げることで自治体に動いてもらえるよう、ご協力いただければ幸いです。

塩尻北のサーチライトの様子

塩尻北のサーチライトの様子

2020年12月4日から2021年2月28日まで、長野道塩尻北IC近くのホテルで点灯されたサーチライトの様子です。

2020/12/6 長者原公園から
2020/12/6 長者原公園から
2020/12/6 ホテル南側より
2020/12/10 松本市中山霊園より
塩尻北のサーチライト 2020/12/6 塩尻市吉田地区の東側(田川高校近く)より
塩尻北のサーチライト 2021/1/9 明科中川近辺より(塩尻北より約20kimほど北)

塩尻北のサーチライトの経緯

塩尻北のサーチライトの経緯

2020年12月4日から、長野道塩尻北IC近くのホテルで回転サーチライトが点灯されました。
このサーチライトは松本市北部や安曇野市をはじめ、松本平全域から見えました。夜空が明るくなったり、天体観測の支障になるほか、一般の方からも止めて欲しいなどの意見が寄せられました。

塩尻星の会ではサーチライトの点灯直後にミーティングを行い、
・光害調査を継続しているのに光害に対する啓もう活動は進めていなかった
という反省が上がり、一般向けの学習会など、できることから始めようという話になりました。

このサーチライト問題をきっかけに塩尻星の会で取り組んだ「光害防止条例制定の要望」「光害の学習会」などの活動を記録しておきます。その都度、使用した資料などもリンクしております。

時期項目
色文字は塩尻星の会で行った活動)
内容
2021年7月~8月内部勉強会:
「光害の防止に向けた条例改正案」の検討
長野県から公開された「光害の防止に向けた条例改正案」の内容を解釈し、会としてパブリックコメントへ提案する内容を検討しました。
検討時には、他の県などの条例の内容も参考にしました。
◆参考:
「参考資料:全国の光環境に関する条例」
2021年7月5日(月)~8月3日(火)長野県から
「光害の防止に向けた条例改正案」に関するパブリックコメント募集期間
長野県の環境部水大気環境課で作成した「光害の防止に向けた条例改正案」(概要)に対して、県民からの意見を募集するものです。
◆参考リンク(外部):長野県のページへ
「光害の防止に向けた条例改正案」パブリックコメント募集ページ
「改正概要」のページ
2021年7月5日長野県から
「光害の防止に向けた条例改正案」の改正概要公開
「光害の防止に向けた条例改正案」の概要が公開されました。
趣旨は以下の内容です。
(1)条例名の変更
 「良好な生活環境の保全に関する条例」に改める。
(2)光害の定義の明記
(3)規定する内容
 ○ 光害の防止
 ○ 星空に関する配慮等
 ○ 良好な星空環境の保全等のための啓発
 ○ サーチライト等の使用の禁止
詳しくは、「改正概要」のページをご覧ください。
◆参考リンク(外部):長野県のページへ
「改正概要」のページ
2021年7月3日第7回長野県星空継続観察ミーティングでの報告第7回長野県星空継続観察ミーティングで以下の発表をしました。
・光害対策ガイドライン勉強会の報告
・塩尻北のサーチライトの経過について
◆参考リンク(外部):宇宙県のページ
第7回長野県星空継続観察ミーティング
2021年6月5日「長野県は宇宙県連絡協議会」リモートミーティングでの報告令和2年度改訂版「光害対策ガイドライン」についての勉強成果を報告しました。
◆参考:
・発表資料「光害対策ガイドラインについて
◆参考リンク(外部):環境省のページ
・「光害対策ガイドライン
2021年4月~5月内部勉強会:
「光害対策ガイドライン(改訂版)」の読み込み
令和2年度改訂版「光害対策ガイドライン」について、旧版との違いや新たに追加された項目など、内容を把握するため、塩尻星の会内部での勉強会を実施しました。
2021年4月15日長野県担当部署とのミーティング「長野県は宇宙県連絡協議会」と「塩尻星の会」より各1名、計2名で環境部水大気環境課を訪問し、実効性のある条例制定を要望しました。
・日程優先のため、単独条例でなく既存の条例の改正となる
・議会提出前にパブリックコメントを募集する
などの回答をいただきました。
2021年3月26日環境省から
「光害対策ガイドライン(改訂版)」公開
環境省が「光害対策ガイドライン(改訂版)」を公開
◆参考リンク(外部):環境省のページ
・「光害対策ガイドライン
2021年3月25日県へ光害防止条例の要望書を提出長野県へ光害防止条例の要望書と全国の条例調査の報告書を提出しました。
要望書には、以下の内容を盛り込みました。
・目的(理念)の設定
・規制の内容の明確化
 (禁止事項、改善すべき事項、配慮すべき事項、地域の実情の考慮)
・県市町村・事業者・県民それぞれの責務の明確化
・光害の監視体制
・照明器具改善に対する支援援助
・改善命令、罰則
・光害の啓蒙
◆参考:
光害防止条例の要望書
全国の条例調査の報告書
2021年3月14日一般向け「光害学習会」Part2 開催Part1の学習会と同じ施設(塩尻北の近く)で光害の学習会と観察会を開催。
県議会で質問された内容の報告と光害対策の条例化を見据え、全国の光害関連の条例の調査結果を発表。
観察会ではサーチライトが消灯されていることを確認。
◆参考:
・発表資料「これまでの取り組み報告」
・発表資料「全国の光害防止条例の制定状況」
2021年3月3日光害対策について条例化に向けて動き出す
2021年3月3日長野県議会、令和3年2月定例会本会議丸山大輔議員(塩尻市)から、県に対し、光害(サーチライト)への対応についての質問がありました。
丸山議員:「他県でも光害を防止する条例が整備されている県があります。観光県たる長野県がそのすばらしい自然環境を生かしていくためにも条例整備が必要と考えますが、知事の御所見を伺います。」
知事答弁:「本県にとって、美しい星空は、観光資源としても、また生活環境の一部としても極めて重要な、ある意味財産であるというふうに思いますし、次世代へこうしたものをしっかり引き継いでいかなければいけないというふうに考えております。」
「より実効性ある対応をしていくことが必要というふうに考えております。そうした観点で、光害の防止に関する条例の改正を視野に入れて、サーチライトの規制を含めて光害への具体的な対策を前向きに検討していきたいというふうに考えております。」
◆参考リンク(外部):長野県議会のページ
令和3年2月定例会本会議 議事録
長野県議会本会議中継(令和3年3月3日 丸山大輔議員)/ YouTube
2021年2月24日インターネット署名とアンケート集計を県へ提出2021年2月16日~2月24日で実施した「長野県に光害防止条例を求める」署名とアンケート結果を県へ提出し、光害防止条例の制定を要望しました。
・インターネット署名  319件
・ アンケート      37件
2021年2月16日~2月24日長野県に光害防止条例を求めるインターネット署名、意識調査アンケートを実施2月長野県県議会でサーチライトに関する質問が行われそうだ、という話があり、より多くの声を県に届けるため、インターネット署名とアンケートを行いました。
◆参考:
インターネット署名
アンケートフォーム
 設問1:塩尻北インターでの回転サーチライト問題についてどう思いますか?
 設問2:光害についてどのように思いますか?
 設問3:長野県としてどのような取り組みが必要だと思いますか?
 設問4:長野県に光害防止条例は必要だと思いますか?
2021年2月~3月「光害学習会」Part2準備として、光害に関する全国の条例調査サーチライトを規制する方法を調べる中で、実は、松本市・安曇野市・駒ヶ根市は屋外広告物条例で「天空を照らす照明器具」を禁止していること(但し、今回は広告ではないので対象外)、飯田市の土地利用調整条例ではサーチライトを禁止していることが分かり、条例での規制が必要であると考えました。
そして、他にもどんな条例があるか、効果的な条例にはどのようなものがあるか、全国の光害に関する条例を調査することにしました。
2021年2月6日第5回「長野県は宇宙県」ミーティングでの報告第5回「長野県は宇宙県」ミーティングで以下の発表をしました。
・塩尻北IC付近の回転サーチライトに対する対応について
◆参考リンク(外部):宇宙県のページ
第5回「長野県は宇宙県」ミーティング
2021年1月22日一般向け「光害学習会」Part1開催サーチライトをきっかけに、地域の方に「光害」について知っていただくことが必要と考え、塩尻北の近くの施設で光害の学習会と観察会を開催。
環境省の「光害対策ガイドライン」を紹介し光害についての理解を深めていただきました。
※青木市議(松本市)が参加してくださり助言いただきました。
◆参考:
・発表資料「光害学習会&ほしぞら観察会」
2020年12月17日信濃毎日新聞に掲載信濃毎日新聞の「声のチカラ」に市民からの投書が紹介されました。
◆参考リンク(外部):信濃毎日新聞
松本平の夜空に謎の光線「UFOかと」正体は…
2020年12月自治体を通したサーチライト消灯のお願い市と県によるホテル事業者との調整
以下の理由により消灯は実現されませんでした。
・2月28日までの期間限定の点灯である
・地域住民には事前に説明してある
・禁止する法令がない。航空法上も問題ない。
◆参考:
サーチライトの様子(写真、動画
2020年12月4日長野道塩尻北IC近くのホテルで回転サーチライト点灯開始

光害学習会・ほしぞら観察会 Part2

光害学習会・ほしぞら観察会 Part2

“光害”って何だろう?

不適切な照明による光の害を「光害(ひかりがい)」と言います。
長野県に、光害防止条例の制定を要望する署名を提出しました。
その経過報告と、星空環境や光害のことを、学ぶ学習会を開催します。
長野県の星空環境について、他の地域の条例を参考に考えてみませんか?

商業施設の看板照明が夜空を照らしている例

日時2021年3月14日(日) 19時から
会場学習会:吉田西防災コミュニティセンター
観察会:長者原公園
申し込み不要
内容吉田西防災コミュニティセンター(学習会)
 ・これまでの取り組み報告
 ・全国の光害防止条例の制定状況
長者原公園(観察会)
 ・回転サーチライトが消灯されたことを確認
 ・冬の星座を案内
 ・夜空の明るさを測ってみましょう

どなたでも参加できます(参加費無料)。
新型コロナウィルス感染防止のため、体調が悪い方、熱がある方は参加をご遠慮ください。
今後の感染状況により中止にする場合があります。

長野県の夜空がサーチライトなどで損なわれないために

長野県の夜空がサーチライトなどで損なわれないために

塩尻北インターチェンジ近くのサーチライト。動きが分かるよう連続写真を合成しています。

サーチライトは長野県には相応しくありません!安全安心な夜空を願います。

2020年12月から長野道塩尻北インターチェンジ付近のホテルにサーチライトが点灯されました。塩尻市や松本市にお住まいの方で夜空を動き回る光を目にした方も多いと思います。この光は松本市北部や安曇野市をはじめ、松本平全域から見えています。夜空が明るくなったり、光の光跡が天体観測の支障になっています。また、子育て中の方から「子どもが不安がっている。やめてもらう方法はないでしょうか?」という意見も寄せられました。

長野県の夜空にサーチライトは必要でしょうか。

サーチライトなど空に向かって照らす光は、光害(ひかりがい)という公害のひとつです。不適切な照明の使い方により生じます。動物や植物等生態系にも対しても影響を及ぼすとされ、環境省の「光害対策ガイドライン」には、ホタルの消失や紅葉の遅れなどの悪影響があると記述されています。

しかし残念ながら、光害を規制する法律や条例は、国をはじめ、長野県や塩尻市・松本市にもありません。

夜空を照らすサーチライトの強い光は、気味悪さを感じるだけでなく、星空を大切にしている長野県の観光にも悪影響を与えるものです。さらにエネルギーの面からも、SDGsの理念を反映した長野県が目指している目標の「確かな暮らしが営まれる美しい信州」の面からも規制が必要だと考えます。長野県は、多くの市町村から天の川が見られる美しい県ですが、近年照明のLED化により、夜空が明るくなってしまっています。

たとえ、塩尻市や松本市で規制する条例ができたとしても、どこかで第2第3の光害が発生することも考えられます。

このような理由から、今回のことを契機として、空に向かって照射する無意味な光を規制する「光害防止条例」を長野県で制定することを要望します。

要望する条例は、街灯など屋外照明自体を規制するものではなく、イベント等で一時的にライトアップすることを規制するものではありません。継続的に夜空を照らす光を規制することを目的としています。

この考えにご賛同いただける方は、是非賛同の後押しをしていただけますでしょうか。ご協力をお願いいたします。

■インターネット署名
http://chng.it/Gjvb2p4J
賛同するとシェアの呼びかけがあり寄付を求められますが、寄付を集めるのが目的ではありませんので、寄付なしで結構です。

■アンケートフォーム
https://ssc01.jp/hikarigai/2021hikarigai/202102iken.html
回転サーチライトについて、光害全般についてご意見がありましたらお寄せください。

なお、賛否問わずご意見をいただけると幸いです。いただいたご意見をまとめて長野県へ陳情することにもつなげていきたいと考えています。