2004.4.15 更新


2003年塩尻星の会「光害調査」報告


1 光害調査について

塩尻星の会では、長野市立博物館と天文団体「しなの星空散歩会きらきら」が協力して実施している「光害調査」に参加しました。
このページは、この「光害調査」の結果をまとめたものです。
今回はじめて取り組んだこともあり、まだ調査ポイントも少なく市内全域を網羅していませんので、簡単な報告になりましたが、おおむね調査した地域については光害の状況がわかりました。これが塩尻市における、光害防止対策への一助になれば幸いに考えています。

2 調査の方法

リバーサルフィルムで撮影した星空の写真を、濃度測定して夜空の明るさを算出します。

調査期間:2003年は、5月25日〜6月2日と6月17日〜7月1日の間(月のない期間)
撮影時刻:21時〜22時(撮影対象がおおむね南中になる時間)
撮影対象:うしかい座アルクチュルス
濃度測定:長野市立博物館へ濃度測定を依頼
  ○デンシトメーター(フィルムの濃度を測定する機器)で濃度を測定します。
  ○測定値の差から夜空の明るさ(1平方秒あたりの明るさ)を算出します。

3 調査結果(空の暗い順)

調査地点名称 緯度経度 撮影日時 ※夜空の明るさ
1 小曽部 (沓沢湖南) e=137/54/02.798 n=36/06/09.222 6/1 21:46 20.74
2 高ボッチ高原 e=138/02/26.029 n=36/07/58.705 6/2 21:20 20.44
3 上伊那郡箕輪町 e=137/59/40.270 n=35/54/17.507 6/1 21:51 20.13
4 伊那北高校 e=138/57/50.119 n=35/50/39.138 6/1 21:31 19.69
5 片丘今泉テクノヒルズ e=137/59/47.566 n=36/07/18.474 6/2 21:22 19.59
6 片丘人材育成エリア e=137/59/37.182 n=36/07/57.171 6/2 21:05 19.51
7 リバーサイドパーク堅石 e=137/56/00.602 n=36/08/13.251 6/1 21:12 19.45
8 長野県総合教育センター e=137/59/58.215 n=36/08/46.324 6/2 21:42 19.38
9 塩尻市広丘堅石 e=137/56/25.983 n=36/08/05.683 6/2 21:33 19.35
10 赤木山 e=137/58/31.230 n=36/08/52.995 6/1 21:52 19.32
11 塩尻情報プラザ前 e=137/57/14.047 n=36/06/44.392 6/1 21:35 19.19
12 広丘小学校校庭 e=137/56/57.484 n=36/09/01.137 6/1 21:12 19.08
地図は別ページになります。 →光害調査地図
全国での調査はこちらが参考になります。 →環境省ホームページ「全国星空継続観察

【講評】
今回の調査において特徴的なことは、標高が高い高ボッチ高原より、小曽部地籍の方が夜空は暗かったことである。これは、高ボッチでは松本市方面の夜景と諏訪方面の夜景を両方とも望むことができる場所であるため、双方の光害の影響を受けているためと思われる。
片丘地区3ポイントは松本市に近いほど夜空が明るい傾向がある。やはり市街地の影響が現れている。
そのほかのポイントについては、おおむね大門地区・広丘地区の夜空は明るい傾向が見られる。いずれも市街地に位置するため、市街地の屋外照明の影響が現れているものと思われる。

伊那地方でも2ポイントの調査ができた。調査ポイントの近くには、郊外型大型店舗があるなど、必ずしも条件が良い場所ではないが、光害の影響は広域的に影響するので、近くにひとつ明るい場所があっても、屋外照明の総量が少ないと思われる伊那地方の状況が調査結果に反映したと考える。

この長野市と歩調を合わせて行った「光害調査」は、塩尻星の会として初めて実施した。天候が不順で、調査の期間中実施できたのはこの2日間であった。夜空の条件は日によって違うので、この2日間で集約できたことは、むしろ調査結果の差異が少なく良かったと考える。
調査できなかった地域があるため、市内全域の夜空の明るさを把握するには至らなかった。今後も継続して調査を行う予定なので、更なる調査ポイントの確保と、今年行った調査ポイントでも継続調査を行って、経年変化を追っていきたい。
さいごに
今回の調査に対して、調査実施に対する助言と調査フィルムの濃度測定を一手に引き受けていただいた長野市立博物館の大蔵様、ご支援をいただいた塩尻市環境事業部環境保全課に感謝の意を表します。